強直母指(きょうちょくぼし)、弾発母指(だんぱつぼし)
Trigger thumb
強直(きょうちょく)母指または、弾発(だんぱつ)母指といったりします。
母指というのは、親指のことですね。
親指のいわゆる第一関節(一番指先に近い関節。IP 関節と言います)が曲がったまま、伸びにくい状態です。無理矢理伸ばすと、「ぽき」とか、音がして指が伸びますが、ぜんぜん伸びないことも珍しくありません。また、無理矢理伸ばすと、痛みがあることが多いです。
いわゆる、「バネ指」として知られています。
指を曲げる筋肉の「腱(けん)」の部分は手のひらの指の付け根の辺りで「腱鞘(けんしょう)」というトンネルの中を通っています。このトンネルの広さと、腱の太さにアンバランスがあり、腱の通りが悪い場合に引っかかってしまうことがあります。そのため、指の動きが悪くなる訳です。
指の付け根あたりの、手のひら側に、ころころとしたしこりを触れることが多いです。
厳密に言うと、大人で起こる「バネ指」と、こどもの強直(弾発)母指は同じものではありません。
大人では、使い過ぎなどによる腱鞘炎から起こることが多いようですが、こどもの場合は、原因不明で、2才以下でみられることが多いです。
4人に1人は両手にみられます。女の子に多い傾向があり、左右のどちらでも起こります。
約半数は自然に良くなると言われていますが、1才をすぎても治らない場合は、自然治癒は難しいようです。
治療法としては、装具療法が薦められます。手のひらから親指にかけて、プラスチック製の装具を使うことが多いと思います。
装具治療の成績は比較的良好で、9割は治療効果があると言われていますが、2年以上の装具療法で、効果がない場合は手術を行うこともあります。
手術は、腱鞘切開(けんしょうせっかい)を行います。大人では局所麻酔で行うことも可能ですが、こどもでは、全身麻酔が必要でしょうね。
参考文献
Tachdjian's Pediatric Orthopedics. Vol. 1, Third ed. Philadelphia,etc: WB Saunders Company, 2002:445.
Dunsmuir, R., and Sherlock, D.: The outcome of treatment of trigger thumb in children. Journal of Bone and Joint Surgery-British Volume,82-B(5):736-738,2000.
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