リトルリーグ肘(野球肘)
Little League elbow
リトルリーグ肘(野球肘)とは肘関節周囲の色々なスポーツ障害の総称ですが、特に離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)を示すことが多いようです。
投球動作を行う場合にみられ、好発年齢は10〜14才と言われています。肘の運動時痛を訴えます。
運動時痛っていうのは、動かしたら痛い、ってことです。
じっとしていても痛いときは「安静時痛」があるっていいます。
離断性骨軟骨炎は繰り返す肘関節への微細な外傷が原因と言われています。
肘関節は、上腕骨(じょうわんこつ)という二の腕の骨と、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃくこつ)という2本の前腕(ぜんわん;肘から手首までのこと)の骨から構成されています。
この橈骨と上腕骨が繰り返してぶつかることで、関節表面の軟骨、軟骨のすぐ下の骨組織(軟骨下骨:なんこつかこつ)に損傷が生じ、関節軟骨が剥がれ落ちることもあります。特に、投球動作の際、肘関節を中心に外側にしなるような動きによると思われています。
一般に、関節軟骨は再生しないと言われているため、関節軟骨の損傷が激しい場合は、大人になってからも肘の痛み、関節の動きが悪い、などの症状を生じる可能性があります。
リトルリーグ肘の治療としては、運動制限と鎮痛剤処方を中心に行われますが、うまく行かない場合、関節鏡(かんせつきょう、関節の内視鏡です)で検査したり、剥がれた軟骨を固定したり出来ることがあります。
小児の関節障害は、のちに成長障害を生じる恐れがあるため、症状のではじめから慎重な経過観察と治療が望ましいと思います。成長障害が起こった場合は、だんだんと関節が曲がって育ったり、関節の痛みが徐々に強くなることが予測されれば、矯正手術が必要と判断することもあります。
似たような病気にPanner病がありますが、Panner病はおおむね10才以下で生じ、予後は良好と言われています。(あまり障害を残すことはない、という意味です。)外傷とは関係ないと言われています。レントゲン上、上記の離断性骨軟骨炎との区別は難しいようです。
少年野球を長く楽しむためにも、関節の痛みがあるときは、無理をさせない方が良いように思っています。
参考文献
Tachdjian's Pediatric Orthopedics. Vol. 3, Third ed. Philadelphia,etc: WB Saunders Company, 2002:2207-2208.
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