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先天性股関節脱臼(その3)

 Developmental dysplasia of the hip

 幼児期に、脱臼が整復できても、治療は終わりません。
 
 それは、臼蓋形成不全(きゅうがいけいぜいふぜん)があるからです。
 
 
 臼蓋というのは、股関節の骨盤側です。
 
 大腿骨の頭は「まん丸い、ボール状」です。骨盤側は、ボールが収まるように、丸くくぼんでいるのです。
 
 このくぼみを「臼蓋(きゅうがい)」といいます。
 
 
 先天股脱では、この「骨盤側のくぼみ」が浅いことが多いのです。
 
 大人の関節と違って、こども、特に成長力が大きい乳幼児の関節は、成長する力のため、その後の変形の程度を予測することが難しいのです。
 
 
 もともと、くぼみが浅い関節でも、大腿骨の位置がきちんとしていれば、正常の関節として成長していくことが多いです。
 
 逆に、ちょっとした関節のずれ具合で、骨盤のくぼみ(臼蓋)が、より浅く育つこともある。
 
 
 可能であれば、手術などしたくないのですが、大人になったときに、痛みのない関節を準備してあげたいため、幼児期や、小学生のうちに手術をお勧めすることもあります。
 
 
 成長力が残っているうちに。
 
 
 言い換えると、僕らに出来ることは、
 
 より育ちやすいように、関節の環境を整えること。
 
 あとは、こどもの成長力に期待する訳です。
 
 
 最初は「手術が必要かなあ。」と思いながら、様子を見ていると、数年してから、問題なく成長してしまうこともあります。
 
 そんなとき、「こどもを信頼する。」と表現したりします。
 
 
 「もう少し、こどもを信頼してみよう。」(自然に、良くなるかもしれないので、ムリに手術はしないでおこう。)
 
 
 やっぱり、しないで済む手術は、受けたくないですからね。
 
 
 ◆ 成長する力を考えながら、数年先を見越しつつ治療する。
 
 ◆ できることなら、大人になるまで見届ける。
 
 
 これが、「小児整形外科」の大きな特徴であり、やりがいがある部分です。
 
 そして、そのことを最も良く示しているのが、この「先天性股関節脱臼」という病気なのです。
 
 
 (つづく)
 



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