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先天性股関節脱臼(その4)

 Developmental dysplasia of the hip
 
 先天股脱の治療としては、成長が終了するまで、経過観察が必要です。
 
 
 経過観察の間に、残念なことに、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)が強くなったり、亜脱臼(あだっきゅう)と言われる状態になることがあります。
 
 
 
 最初に「脱臼」している状態から、一旦「整復」状態になり、数年が経過すると、いわゆる「脱臼」となることはほとんどありません。
 
 ただし股関節の成長が今ひとつで、大腿骨頭(だいたいこっとう)が、臼蓋(きゅうがい:骨盤側のくぼみ)に十分に覆われない状態となることがあります。
 
 これを、亜脱臼といったりします。
 
 
 
 赤ちゃんのときから治療を始めて、およそ、5−6才頃に、亜脱臼の状態になることがあります。
 
 
 このときに行う治療としては、
 
 骨盤骨切り術、大腿骨骨切り術
 
 など、股関節の骨の形を手術で変えることで、大腿骨頭が十分に臼蓋のくぼみのなかに収まることが出来るようにします。
 
 
 幼児期に手術をする場合、股関節の痛みなどの症状があることはまれで、
 
 将来痛みが出る可能性が高い。
 
 と判断されるときに手術が考えられます。
 
 
 
 一方で、亜脱臼になったとしても、必ず将来痛みが出るとは限らないため、
 
 大人になってから症状が出たなら手術をするほうがいい。
 
 との意見もあります。
 
 
 
 一般的に、大人になってから治療を受ける場合、比較的程度が強いことが多い印象があります。
 
 亜脱臼が大人になって痛みが出る場合、
 
 「変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)」となっています。
 
 変形性股関節症は、程度が軽ければ、骨切り術など、
 自分の関節を温存した治療が出来ますが、程度がひどければ、人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)の適応となります。
 
 
 現在のところ、人工関節は20年程度しか持たないため、20−30歳代の若い人にはあまりお薦めできません。
 
 
 
 また、股関節の痛みが出る時期として、20代から30代の結婚、出産の時期とも重なることが多いため、治療の時期を遅らせてしまうこともあり得ます。
 
 (先天股脱は女の子の左側に多いと言われています)
 
 
 
 
 こども時代に治療して、将来のリスクを減らすか。
 
 大人になって治療するか。
 
 
 
 これは、先天股脱の後期治療で、永遠のテーマと言えるでしょう。
 
 (おわり)



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