大腿骨頭すべり症の概念
Slipped Capital Femoral Epiphysis
大腿骨頭(だいたいこっとう)スペリ症、というのは、思春期頃に多い疾患で、大腿骨の股関節部分(大腿骨頭)の「骨端線(こったんせん)」がずれるものです。
骨端線(こったんせん)は成長線ともいい、そこを中心として骨が成長する部分です。成長力が旺盛な反面、強度が弱く、ささいな衝撃でずれやすいのです。
ずれやすい、といっても、通常の生活でずれることはありませんが、体質的にずれやすい場合があります。
大腿骨頭に起こった場合に、「大腿骨頭すべり症」といいます。
肥満傾向があり、成長ホルモン異常があると、骨端線のずれが起こりやすいと言われていますが、検査しても、ホルモン異常がみられないことも少なくありません。
日本では、10−14才に多くみられ、この年齢の子供10万人あたり3人程度の発生頻度といわれており、比較的少ない病気です。3対1の割合で男の子に多く、右左の差はあまりありませんが、両側性の場合が14%にみられるとの報告があります。つまり、最初に片方が悪くなった場合、反対側も悪くなる確率が14%です。
症状は、何となく股関節や大腿部が重くだるい感じが続く「安定型」、転んだあとから急激に痛みがあり動けなくなる「不安定型」があります。
診断はレントゲン検査で行いますが、「安定型」も「不安定型」も、大腿骨頭の骨端線がずれた形をしています。
「安定型」は、ずれがゆっくりとすすんで、不安定性が少なく痛みも少ないのですが、転んだりすると、「不安定型」になることがありますので、注意が必要です。
骨端線がずれて(すべって)いるとどうなるのか。
関節の動きが悪くなり、最悪痛みも強く股関節の場合は痛みで動けなくなることもあり得ます。
成人になり、股関節の軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」になる可能性がたかくなりますので、治療が必要です。
治療としては基本的に手術を行いますが、「安定型」と「不安定型」では、若干違います。
また、時間差で両側性になることもあり、ずれていない方も予防的に手術をすることもあります。
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