単純性股関節炎
Transient Synovitis of the hip
風邪を引いたあとなどに、急に歩かなくなったり、
「足が痛い」という場合に考えなければいけない病気があります。
一つは、化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)。
そして、「単純性股関節炎(たんじゅんせいこかんせつえん)」。
今回は、「単純性股関節炎」の話です。
3−6才ぐらいのこどもに多い印象があります。風邪を引いたあと、数日してから股関節の痛みを訴え、歩こうとしなくなります。ときに、膝の痛みを訴えることもありますが、よく調べると悪いのは膝ではなく、股関節のことが多いです。
発熱は、通常ないか、微熱程度です。
股関節を広げた、ガニマタの形になり、動かすと痛がります。
症状が強い場合は、入院で安静にさせることもありますが、 結論から言うと、この病気は痛みが出たあと、1週間から10日ほどで自然に良くなります。
原因はよくわかっていませんが、風邪を引いたりしたあとに多く見られることから、なんらかの免疫反応であると言われています。
体にカゼの病原体が入ると、それをやっつける仕組みが「免疫」です。血液の流れにより、免疫反応は全身に現れますが、おおざっぱに言うと、風邪を引いて熱が出るのも、反応の一部です。
股関節に反応がでると、股関節に「水」が溜まります。(関節の「水」とは?)
股関節内部の刺激が収まると、関節内に溜まった関節液(関節の水)も自然に減少し、元に戻ります。
単純性股関節炎の場合は、自然に良くなるのですが、関節包の中に「バイ菌」が入ると、自然には良くなりません。
これは、「化膿性関節炎」といって、非常に重症な病気です。
「単純性股関節炎」と「化膿性股関節炎」の区別は簡単ではなく、血液検査や超音波検査、場合によっては関節液を注射で採取して調べることが必要です。(穿刺:せんし、といいます。)
参照:化膿性股関節炎とは
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